失くしたものはもう心の一部でしょ

SpotifyのLiner Voice+で、「Find Love」の日本語版である「キレイな人 (Find Love)」を「アルバムに入れようか迷った」という発言がありましたが、入れてもらえて本当に良かったと思います。シンプルですがかなり攻めた表現も見られる歌詞に反響も多く、共感や感銘を受けtwitterなどで呟いている方も見受けられますが、自分もその一人です。

 

 歪な自分に優しくできない
 そんな日もあるし
 真っ直ぐには伸びないのが life

 

「BADモード」のリリース直後、プライベートで少ししんどくなる(かつ自己嫌悪に陥るような)出来事があり、アルバムに触れられた喜びの中に水を差されたような気分になってしまったのですが、この歌詞が聴こえてきて「そんな日もあるか」と気持ちの軌道修正ができました。以来、とてもお気に入りの箇所に。Hikkiが届けてくれる音楽というのはそんな風にいつも、生活に寄り添ってくれているもの。もっと大きな出来事や過去の呪縛に対しての救いになることもあるし、日常の細々した出来事の潤滑剤になってくれることもあるし、その連続なんですね。

 

元々「bland SHISEIDO」のキャンペーンソングとして「Find Love」を聴いたときからトラックがとても好みだったので、フルサイズで聴けるのを心待ちにしていたのですが、日本語版も同時に聴けて、待った甲斐がありました(笑)。ただ、メロディに言葉が乗った形では英語版の「Find Love」の方が好きです。逆に「キレイな人」は、英語に比べ間延びせずに日本語が乗っていてすごいなとも思いましたが、やはりこの歌は流れるようなメロディに乗って英語の細かい発音で歌われるのが心地よいなと。といいつつ一番好きなのはトラックなのですが、それこそ「Exodus」の楽曲を想起させるような電子音が、身体を揺らしたくなるようなリズムで鳴っていて、どこかオリエンタルな香りがするのがとても好きです。

 

この記事のタイトルにしている「失くしたものはもう心の一部でしょ」というフレーズにはハッとさせられました。それがずっとHikkiの音楽のテーマだったようにも感じています。失くしたものや選ばなかったものに対しての「慈悲」というか、それも含めての「自分」だし「あなた」だよ、という。そういったものへの血の通った表現を、グサッとワンフレーズで言ってもらえたような気持ちになりました。例えその失くしたものが「心の一部」だったとして、そのことに気付いているか、自己認識があるかということも重要で。Hikkiが歌う曲の世界の主人公はもうそれに気づいていて、だからこそ揺るがないし、強いんだなと改めて思います。そして聴く側(=主人公と心を重ねる側)も、圧倒的なパワーを貰うことが出来ますね。